芋ころがし坂
「芋ころがし坂」については、「人ぞ知る鴻巣のさつまいも畑ここにありき。道を築けば坂となって芋ころがらんとす。」とその土地の作物を民話風のおどけた地名としたと、公園の監修者である中村良夫東工大名誉教授の作成した「古河総合公園の地名碑一覧」が残されています。このような命名は、公園計画する際に、地元の古老から土地の記憶を丹念に聞き取りした成果でもあるのです。
芋ころがし坂の坂上から左手に桜と萩が並木上につながり、右手の畑は、今は、サツマイモ畑ではなく茶畑と梅林となっています。従って、春は、梅の花が咲き、次いで桜が絢爛と咲きます。また、立秋のころから、萩がこぼれるように咲き始め、秋の訪れを知らせてくれます。そして右手の茶畑は日本の農の風景の中で最も豪奢な幾何学的風景美を四季を通じて見せてくれます。それは修学院離宮にみられるような日本庭園の大刈込にも勝るとも劣らない美しさがあります。
ところで、鴻巣のさつま芋は、知る人ぞ知る産物で、うまいと評判で市場に出せば高値で取引される聞いたことがあります。ただし生産量が決して多くはないので、口にする機会は少ないようです。事実私は食したことがないので、焼き芋にして食べてみたいものです。