まくらが浜・逢わずの渡し
「まくらが浜・逢わずの渡し」は、芝生広場からなだらかな傾斜で御所沼に面する弓状の砂浜のことで、その地名碑に「逢わずして行かば惜しけむ麻久良我の許我漕ぐ船の君も逢はぬかも」(あなたと逢わずに行ったら心残りだろう。まくらがの古河を漕ぐ渡り船であなたとお逢いできないものかなあ)と万葉歌が刻まれています。その万葉歌にみえる許我の枕詞をとって、その砂浜を「まくらが浜」と名付けたものです。
古河を詠った万葉歌はもう一首あるが、いずれも「古河の渡し」を舞台にした男女の恋慕の情を詠った相聞歌で、二人は逢うこともなく「まくらが浜」の「古河の渡し」を旅立ってしまったとの解釈で、この浜を「まくらが浜・逢わずの渡し」と命名したものです。
この万葉歌は古代の古河の若人たちの恋慕の情に燃える体臭を感じ取ることが出来る秀歌であるが、その背景には、渡来人の当時の最先端の韓梶を装備した舟が発着し、諸国から人が相集まり、働き、いこい、そして去りゆく古代古河の様子が詠われているとも言えます。既に河川交通の要衝であったそんな「古河の渡し」に思いを馳せた地名碑でもあります。