雪華園
雪華園は、ジェラテリア周辺の庭園のことで、古河藩主土井利位の雪の研究書「雪華図説」から名付けられました。
この雪華園は、「乾坤八相の庭」とも言われ、人間と自然の複雑な関係の姿を八景にまとめたもので、公園全体の景観整備の重要な考え方でもあります。
第1景は、「復元の景」。消滅した自然を人の英知によって取り戻した御所沼のことです。御所沼の復元により、古河公方時代の歴史的空間を追体験できるようになりました。
第2景は、「自然保護の景」。御所沼に囲まれた古河公方館跡の森、人が生活に利活用するために管理してきた雑木林のことで、子どもたちには虫取りなど、親しみのある自然でもあります。
第3景は、「農の景」、茶畑や水田、雪華園にも小さな円形の畑があります。田や畑の広がる農の風景は、日本人がふるさとをイメージする原風景でもあります。
第4景は、「園芸の景」、ジェラテリアの庭の仕立物の松など、人間が思い描く理想の自然像のことです。
第5景は、「自然への対峙景」。鉄の橋の天神橋や雪華園につくられた片岡崩しの庭など、人間が文系活動のために自然の中に造りだした造形のことです。
第6景は、「自然の侵犯景」。草木に埋もれた古河公方の遺跡など、人の手から離れた人間界の家屋敷や田畑には、すぎさま自然界が乱入し野生に帰ろうとします。雪華園の一隅に造られた廃墟風の庭は、野生が人の痕跡を呑み込む自然の侵犯景のことです。
第7景は、「詩的感興の景」。園内に地名をつけることで、無名の地に地名と言う言葉を与えると、意味ある場所として風景に物語が生まれ、新たな風景が立ち上がる。言わば、言葉により、風景をデザインすることであります。
第8景は、「虚像の景」。パークカフェの建築の構えの中で風景は屈折し分散する幻影の自然のことです。
以上、自然と人との多様なからみあいを象徴化した乾坤八相の庭「雪華園」の地名碑についてご紹介させていただきました。