神明前の大エノキ
「神明前の大榎」については、地名碑に「旧小字名「神明前」」の大木なれば、かく称す。」とその由来が刻まれています。
神明前とは神明神社の南側と言う意味です。遺水柏翆著古河通史によると「神明神社は、牧野地の香取神社の東側にあった神社のことで、神明神社を囲繞する土地が小字名、神明北東、神明西、神明前となっている。ここの神明神社の創立年代は確かではないが、古河公方成氏が社殿を造営したのが始まりだと伝えられている。」とのこと。因みに、神明神社の神明とは、天地神明にかけての神仏の神ことであり、また天照大御神のことで太陽神として農耕神でもあります。
「神明前の大エノキ」は、中山台を季節風から守る屋敷林の様に生えてくる榎で、牧野地道の正面に聳えている双幹に見える一対の榎のことです。今は中山台の遊具エリアにあり、遊ぶ子らを見守る様に枝葉を茂らしています。2本の幹の目通りはそれぞれ3.4mと2.7mで、樹高は19.6m、双幹の隙間は最大40㎝、根は一体化しています。幹は割れ洞をつくり枝は縺れ融合し風雪に耐えた履歴が見えます。また見る方向にもよるが一木に見えます。人一人が通り抜けることのできる幹との隙間には、どういうわけか、その隙間をすり抜けたくなる衝動を覚えるのです。