「トラエモン道」については、当地の牧野地側に「トラエモン」を使った小字名があり、そのトラエモンを借りて名付けたとのことである。
古河歴史博物館紀要「泉石」第4号によると、明治18年の土地利用図では屋敷林を持つ家があり、その家が名主の虎右衛門態邸で、その名主のカタカナ表記がトラエモン前とトラエモン裏の小字名になったようである。
トラエモン道は、牧野地道から菖蒲田の西側に沿った北に向かう園路である。その園路の西側が1975年ごろに植樹した修景林で、東側には嘗ては菖蒲田であった湿地が広がっています。大きく育った修景林の木々の季節の移ろいも楽しめるが、春、湿地越しに春霞のように咲く桃林の眺めは特にお奨めである。
ところで、もう4,5年年前であろうか、藤の花咲く5月初旬、新緑が清々しい昼下がり、トラエモン道で、母親と小学低学年くらいの姉と5,6歳くらいの弟の三人が少し距離を置いて私の前を歩いていた。すると、その弟がトラエモン道の地名碑を目ざとく見つけ、ト・ラ・エ・モ・ンと地名碑を呼んだ。その男の子は頭を傾げた。そして3人は顔を見合わせて笑った。地名碑・トラエモン道のドラエモンに反応した男の子のエピソードである。